【技術士度二次試験】地すべり対策工
H27.Ⅱ-1-1
地すべり対策工のうち,抑止工を2例挙げ,工法の概要,その工法の地形地
質的観点からの適用性と計画設計上の留意点について説明せよ。
回答例
抑止工として、1.杭工と2.アンカー工がある。
1.杭工
1-1.概要
杭工は鋼管杭などの杭を地盤まで挿入する事で、抵抗力で地すべりを止めるものである。
1-2地形地質的観点からの適用性
地すべり土塊が大きい場合には、地すべりの推進力が大きくなり鋼管杭だけでは止められないので、鋼管杭の替わりに口径の大きな深礎工を利用する。
1-3計画設計上の留意点
杭の設計では、その設計位置により抑え杭やくさび杭の計算を行う他、杭に変位がでて初めて抑止効果が発揮されることに留意すべきである。
2.アンカー工
2-1.概要
アンカー工は、地すべり土塊を鋼棒や鋼線によって固定する方法である。
2-2.地形地質的観点からの適用性
不動岩盤の接地抵抗力が期待できる地質で効力があがる。移動中の地すべりでは施工できない。
2-3.計画設計上の留意点
一般的に、杭工や抑制工と併用することが多く、プレストレスを与えることで、杭工への負担を減らせたり、地すべり土塊の緩みを抑えることができる。
3.シャフト工(深礎工)
3-1.概要
鉄筋コンクリートの縦杭(シャフト)を不動地盤まで挿入することで、大きな削孔機械を使用せず、数基の場所打ち杭で抵抗させるものである。
3-2.地形地質的観点からの適用性
狭隘地など打設機械の搬入が困難な場合や大口径ボーリングに伴う送水によって地滑りを誘発する場合などに適用される。
3-3.計画設計上の留意点
地すべり対策工には、問題にある抑止工と抑制工の2種類に区分される。
- 抑止工→構造物の持つ抵抗力を利用して地すべり運動の一部または全部を停止させる工法
- 抑制工→地すべり地の地形、地下水の状態などの自然条件を変化させることによって、地すべりの滑動力と抵抗力のバランスを改善し、地すべり運動を停止または緩和させる工法
memo
1.抑止工
- 杭工
- アンカー工
- シャフト工
2.抑制工
- 地表水排除工(水路工、浸透防止工)
- 地下水排除工(横ボーリング工、集水井工、排水トンネル工)
- 排土工
- 押え盛土工
- 河川構造物(ダム工、床固工、護岸工)